
一口に「イラスト」と言っても、実に様々な種類があります。油絵のように色を塗り重ねたもの、水彩画のように明快な線と透明感のある色で描かれたもの、コンピューターグラフィックによるもの、枚挙に暇がありません。
ここでは、絵の描き方や使用する道具などは問わずに、「シンプル」と感じられるイラストをご紹介しましょう。
シンプルなイラストを依頼される場合
「シンプルな感じのイラストを」という要望を出された時、依頼主にはどのような意図があるのでしょうか。
一つは、依頼主が明確な考えを持っている場合でしょう。
下記に挙げた例で言うと、ファイナンシャル・アドバイザー養成団体のイラストは、来たるべき時に備えて的確な能力を持っていなければ上手に波に乗れないという様子を表現してほしいとの確固たる依頼内容になっています。
二つ目は、子供を対象とした場合です。
下の例では、児童文学の表紙や子供のコミュニケーション能力向上を図る団体の教材に代表されます。
シンプルなデザインはここを心がけよう
上で述べたように、シンプルなイラストは意図がダイレクトに伝わります。しかし、その意図を満たす条件が足りていなければ、たちまち魅力がなくなってしまいます。
例えば、下の一番目のイラストは、赤鼻のトナカイだけでは、まったく魅力的にはなりません。ワイヤレスインフラ・プロバイダーのクリスマスカードという前提条件があり、赤鼻にワイヤレスのアイコンを追加しているからこそ、著しく魅力的になっているのです。
シンプルなイラストを見てみよう
様々なジャンルのシンプルなイラストをご覧ください。

ワイヤレスインフラ・プロバイダーのために作ったクリスマスカードです。赤鼻のトナカイの赤鼻を、ワイヤレスのアイコンに見立てています。簡素ながら、「おっ」と目を引くイラストです。

特に中小企業を対象としたマーケティング・エージェンシーが依頼したイラストです。小さな投資で大きな効果を生む事を説明するのに、自動車との共存を果たした自転車のレーンに象徴させています。

地域の活性化に関する事業を専門にしたクラウドファンディングサイトのメインイラストです。アメリカを代表するランドマークが見事に凝縮されています。

ファイナンシャル・アドバイザーを養成する団体のためのイラストです。アメリカでも2016年以降、団塊の世代が大量に退職する現象が起こるので、その退職金を押し寄せる波に例え、資産運用を上手にアドバイスするプランナーをサーファーに例えています。そして、確かな実力がなかったら、波に飲まれてしまう様子もイラスト化しています。

自作の児童文学に付ける表紙のイラストです。ロボットを巡る男の子と女の子の冒険活劇のワクワク感が伝わってきます。

子供のコミュニケーション能力の向上を支援する団体のためのイラストです。その際に使う教材のキャラクターを依頼し、ユーモラスで少し頼りなさそうなこちらに決まりました。

屋根に特化した建設会社で使う感謝祭用グリーティングカードのイラストです。愉快な仲間たちが屋上で作っているのは、七面鳥の丸焼きでした。フロリダの会社なので、南国の雰囲気も出ています。

マサチューセッツ工科大学(MIT)のオープンコースウェア(OCW)のためのイラストです。OCWではMITの講義で使用される教材のすべてを公開しています。教室に出向かなくても勉強できる様子をイラスト化しました。

細かく描き込んだイラストや色を塗り重ねたイラストは、欠点を少し誤魔化す事ができますが、シンプルなイラストはその余地がほとんどありません。
満足した出来にするには、確かな技術とセンスが必要になってくるでしょう。