印刷に適した名刺を制作するための7つのヒント

shunichi shiga

名刺のデザインは、クライアントのロゴと連絡先をドキュメント上にサッと配置して、印刷会社に送ってしまえば済むというような単純なものではありません。名刺を制作する際には、考慮しなければいけない点がたくさんあります。その内容は、デザインやクライアント、そして印刷会社に応じて変わります。
案件ごとに仕様は少しずつ異なるとはいえ、印刷に適した基本の名刺を制作するには、デザイナーがクリアしておかなければいけない最低限の条件があります。クライアントに最終ファイルを納品する前に、次の質問をご自身に投げかけてみましょう。

  1. 今回の案件でクライアントから提示された仕様はどのようなものか?
  2. デザインには、どのアプリケーション(ソフトウェア)を使うべきか?
  3. ドキュメントのカラーモードはCMYKに設定しているか?
  4. 裁ち落としは正しく設定しているか?
  5. デザイン内のすべての画像を適切に使用しているか?
  6. フォントはライセンス上許可されたものを使用しているか?
  7. すべての形式でファイルを保存しているか?

このような基本的な条件を満たしておくことは、大幅な時間の節約になりますし、印刷時の技術的な問題の発生を避けることにも役立ちます。それでは、もう少し詳しくご説明していきましょう。

1.今回の案件でクライアントから提示された仕様はどのようなものか?

print ready business cards - Specs

デザイナーが毎回考慮しなければいけない制約には、これだけがすべてではありませんが、次のようなものが挙げられます。

  • クライアントの予算
  • クライアントのブランディング及びスタイル
  • 指定の印刷会社
  • インクや紙を含む、指定の印刷関連用品

初めからこれらを明らかにしておくのがベストですが、特に、クライアントがどの印刷会社を使用するかについては把握しておいた方が良いでしょう。色々な印刷会社があり、それぞれ仕様が異なります。ですから仕様を調べ、それに応じてデザインを調整することが重要です。

ビスタプリントMooといった印刷会社は、名刺のテンプレートを公開し、ウェブサイトからダウンロードできるようにしているので、それぞれの仕様に合ったデザインを簡単に行うことができます。名刺のデザインをする時には初めからこれらのテンプレートを使うのが理想的です。残念ながら、クライアントの多くは事前に印刷会社を選んでいないため、そういったことはできるだけ早い段階で決めてもらえるように頼んでみることをお勧めします。

その間に次に挙げる条件を満たしておけば、後日クライアントが印刷会社を決めた時も、簡単にその会社の仕様に合わせることができます。クライアントから依頼がない限りは、エンジン全開で12時間もかけ、金メッキを施し型抜き加工をした上に、プラスチック素材に印刷することを想定した、手の込んだ名刺をデザインするようなことはやめておいた方がよいでしょう。最も安全なのは、紙に印刷する、基本的な両面カラーの名刺でデザインを始めることです。

2.デザインには、どのアプリケーション(ソフトウェア)を使うべきか?

print ready business cards - Templates

名刺のデザインは、ベクター形式、ラスター形式のどちらでも行うことができますが、いずれにしても正しい方法で行うことが大事です。どちらの形式を選ぶとしても、ビスタプリントMooのような印刷会社の多くは、ベクター形式、ラスター形式、両方のテンプレートを公開し、ウェブサイトからダウンロードできるようにしています。

  • ベクター形式 を採用するならばadobe InDesignまたはadobe Illustratorを使いましょう。
  • ラスター形式を採用するならばadobe Photoshopを使い、ドキュメントの解像度は300DPIに設定しましょう。

3.ドキュメントのカラーモードはCMYKに設定しているか?

print ready business cards - shutterstock_112990084

CMYKカラーモードは、名刺などの印刷物のデザインに用いられます。推奨アプリケーションの多くで、デフォルトのカラーモードとして設定されていますが、毎回必ず確認を行い、ドキュメントのカラーモードがRGBでなくCMYKであることを確認してください。
3種類の異なるアプリケーションで、ドキュメントのカラーモードがCMYKになっているかを確認する方法をお教えしましょう。以下の通りに進むと現れるカラーモードの設定で確認できます。

  • Photoshop:   イメージ > モード > CMYKカラー 
  • Illustrator:  ファイル > ドキュメントのカラーモード > CMYKカラー
  • InDesign:  編集 > カラー設定(設定画面がポップアップしたら、オプションのボタンをクリックして、 CMYKにチェックが入っていることを確認してください)

4.裁ち落としは正しく設定しているか?

print ready business cards - moo_template

こちらの例では、MOOのウェブサイトから、adobe Illustrator用の名刺のテンプレートをダウンロードしています。表面用と裏面用それぞれのファイルが入っています。
テンプレートを見れば、名刺用のファイルの基本的な構成要素がどんなものかよく分かるようになっていますが、もう少し詳しく説明しましょう。

  • 安全エリア(オレンジ色の線で囲まれた部分)とは、印刷した時に切れないように、すべての文字と図形を収めておくべき領域です。
  • トリム (黒色の点線)とは、これに沿って機械が名刺をカットする線のことです。
  • 裁ち落としとは、機械でカットされる部分のことですが、ここまでは画像や色を塗り足しておいて、名刺の仕上がり時に白い部分が現れないようにします。
print ready business cards - correct

こちらが、名刺ファイル上に正しい方法でアートワークが配置されている状態です。

print ready business cards - WRONG!

こちらはいずれも、名刺ファイル上に誤った方法でアートワークが配置されている状態です。

向かって左側の例には、裁ち落としがありません。背景がテンプレートの端まで到達していないため、カットされた後の名刺の端に白い部分が出てしまうことになります。向かって右側の例は、文字が安全エリアの内側に収まっておらず、カットした時に文字が切れてしまうことになります。
これらは非常によくあるミスの例ですが、テンプレートに従ってデザインを正しく配置できてさえいれば、印刷会社の仕様に合わせることは簡単なのです。

5.デザイン内のすべての画像を適切に使用しているか?

print ready business cards - Resolution 300DPI?

この例では、しわの付いた紙袋を300DPIでスキャンして、背景用のテクスチャとして使用し、名刺ファイル内に配置しています。 

すべての名刺に写真が使われるわけではありませんが、写真を使ったデザインにする場合、写真の解像度は必ず300DPIでなければなりません。ですから、インターネットからコピーしてきた写真は使うべきではありません。それは単に権利関係の問題に留まらず、そういった写真の解像度は72DPIであるため、スクリーンで表示するには十分ですが、印刷には適さないからです。

高解像度の印刷を確実なものとするためには、最低でも300DPIはある、ご自分で用意した写真か、第3者が提供する写真(申告をお忘れなく)を使いましょう。そして、Illustratorファイルに写真を埋め込むか、最終ファイルをクライアントまたは印刷会社に納品する時に写真のファイルを加えておくことを忘れないようにしてください。

6.フォントはライセンス上許可されたものを使用しているか?

名刺の制作においては、文字をアウトライン化するより、フォントをファイルに埋め込む方が一般的には良いとされています。その理由は編集が引き続き可能となる点と、質の高い印刷結果が得られる点にあります。フォント選びの第一歩は、ファイルへの埋め込みがライセンス上許可されているかを確認することです。

こちらの例では、Fontsquirrelのフリーフォントである「UglyQua」を使っています。そのため埋め込みに関する制約を心配せずに済みます。しかし、すべての有料フォントについては、ファイルへの埋め込みがライセンス上許可されているかを確認する必要があります。

print ready business cards - Ugly_License
print ready business cards

ファイルへの埋め込みがライセンス上許可されているかを確認してみると、このような表記があります。

ソースファイルをPDF形式で保存すると、アプリケーションの方でフォントを自動的にPDF文書内に埋め込んでくれます。

print ready business cards - Check_Embedded?

それを確認するためには、名刺のPDFファイルをadobe Acrobatまたはadobe Readerで開き、 ファイル > プロパティ > フォントをクリックします。タブのあるウィンドウがポップアップし、どのフォントが埋め込まれたのかが表示されます。 “埋め込みサブセット” “埋め込み” という表示が出ているはずです。

フォントの埋め込みは必須ですが、同時にクライアントはフォントのデータそのものを所有しておく必要もあります。クライアントには追加で、フォントのライセンスが合法的に購入できるサイトのリンクを送りましょう。例えば、クライアントとのやり取りに、こんな文章を加えてみてはいかがでしょうか。

「こんにちは。あなたの名刺に使ったフォントを気に入っていただいていると良いのですが。他の案件でこのフォントを使用できるように、ライセンスの購入を希望される場合は、こちらのリンクからライセンス及び購入に関する情報を確認していただくことができます。(リンク)」

7.すべての形式でファイルを保存しているか?

名刺のデザインをクライアントに納品する際は常に、次に挙げる形式で提供するのが良いでしょう。

  • AI, ID, CDW または PSD
  • EPS
  • JPG
  • PDF
  • TIFF

これらすべての形式のファイルを納品しておけば、後からクライアントに別の形式のファイルを依頼されることもありません。通常ならPDFのファイルで印刷には十分ですが、納品するフォーマットにTIFFが含まれているのは、一部の印刷会社からはTIFFが求められるからです。

print ready business cards - files

ここでは、ファイル形式別のフォルダを作り、その中に名刺の表面と裏面のデータを別々のフォルダに分けて保存しています。すべてのフォルダを最終ファイルという名前のフォルダに収めています。

ここまでできたら、クライアントにファイルを提出しましょう。もしも、クライアントからデザインの改訂を求められたら、ファイルの並べ方はそのままにしておいて、ファイル名に「改訂」と加えましょう。そうすることでクライアントはどのファイルを確認すれば良いかが分かります。

print ready business cards correct!

どこかのタイミングで、クライアントにすてきな試作品を見せてあげるのも良いでしょう。

この名刺案件用のチェックリストは、手間がかかるように見えるかもしれません。でも長い目で見れば、大幅な時間の節約につながります。毎回このリストに従っておけば、名刺のデザインファイルに最低限必要とされる条件を満たすことになり、結果的に色々な印刷会社やクライアントの仕様に簡単に合うものを仕上げられるのです。

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文字デザインを良く見せるための10のヒント:カーニングを使いこなす

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タイポグラフィに関する5つの重要なルール

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グラフィックデザインにおける要素に“VIP”部門があるなら、タイポグラフィはその上位に入るでしょう。たとえロゴがすばらしいレイアウトを持っていても、文字要素が優れていなければ好意的なフィードバックは得られません。 タイポグラフィはデザインを作るものであると同時に、崩すものでもあります。これからご紹介する5つのルールを理解することが大切です。 1. レディング — レディングとは文字列の行送りのことで、一般的には各行のベースラインからベースラインまでを測ったものです。レディングは文字列の視認性に影響するため、パラグラフを設定する際に重要なものとなります。レディングがなければ、文字列は狭苦しい印象を与えるでしょう。もしレディングが多すぎても、その空きすぎたスペースにより、文字列はまとまりのないものになってしまいます。 ご使用のプログラムによって、レディングの変更方法は異なります。大まかな方法は、フォントの高さより2pt上回るレディングとすることです。例えば、10ptのフォントを使用しているなら、レディングは12ptとなります。これは使用しているフォントによって変わり、フォントが違えば必要な行間も違ってきます。 2. トラッキングとカーニング — トラッキングとカーニングは、両者とも文字間のスペースを調整するという点で似ています。では、その違いは何でしょう?トラッキングは文字のグループ間の調節、そしてカーニングは個々の文字間の調節です。プリントする段階で文字が互いにぶつかり合わないようにするには、トラッキングを調節しておくべきです。さらに、トラッキングは文字の読みやすさや密度を改善するのに役立ちます。 カーニングは、ヘッドラインやすべてが大文字の表記、またはロゴなどの視認性を全体的に向上するので、とても効果的です。とても役に立つものですが、あまり多用しすぎてもいけません。1つの単語であるはずの会社名を2つの単語に見えるようにはしないでください。 3. セリフ体とサンセリフ体 — セリフとは、文字や記号のストロークの端に付く飾りのことです。長文が使われる書籍や雑誌には、セリフ体が最適です。セリフ体はベースラインにうまく沿うので読者の目を次の言葉へと導く手助けになり、長時間読まれるものに適しています。 4. 書体の数 — 異なる書体を組み合わせることでレイアウトをダイナミックに見せることができますが、あまり多くの書体を使い過ぎると、読者の気が散ってしまいます。たくさんのフォントがあると、どのエレメントが重要なのか分かりにくくなります。 一般的なルールは、1つのプロジェクトには3種類以下のフォントを使用することです。例えば、2種類のフォントをヘッドラインと本文に使用します。そのフォントはそこから太字やイタリック体にしたり、小見出し用にサイズを変更したり、大文字にしたり、またはその他のデザインエレメントにしたりすることができます。 デザインドキュメントが長ければ、より多くのフォントを使用することができます。しかし、パンフレットや広告、またはその他の短いドキュメントの場合は、1~2種類のフォントの使用に留めておいた方が良いでしょう。 5. 本文の長さ — 新聞を見ると、記事がコラムに分けられていることに気付くかと思います。1行の文字数が短いと記事を分割でき、文章が読みやすくなります。人間の目は、行の文字数が多過ぎると必然的に疲れるものです。 正確な文字数を予測するのは難しいですが、一般的なルールは各行を50~60文字未満にすることです。これは標準的な数字ですので、デザインプロジェクトによって調節すると良いでしょう。 同様のルールがヘッドラインにも適用できます。ヘッドラインは一般的に50文字以下とされていますが、1行の文章を短くすることは有益です。例えば、“すぐに使える何百ものデザインのチャンス” という見出しについて作業している場合、それを細かく分けることで読みやすくできます。 読者が流れるように読み進めることができるように、文章を短くしてください。そしてしっかりとフォントサイズを調節すれば、行がうまくそろうでしょう。 ご紹介した5つのルールは大切ですが、タイポグラフィのルールは学ぶべきものが他にもたくさんあります。 フィーチャー画像:arnoKath [ 翻訳:shunichi shiga ]

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