著作権の問題は、容易に白黒の判断がつくようなものではありません。創作物の著作権をめぐる論争は尽きることがなく、避けて通れない事項になっています。

世間に著作権に関する大きな議論を巻き起こした、著名な訴訟がどのように取り扱われ、何を意味し、なぜ多くの注目を集めたのかを見ていきましょう。

1. Rogers 対 Koons

copyright infringement

Photograph: Art Rogers – 1985; Polychrome: Jeff Koons – 1988 (both via The Design Observer Group)

訴訟

フォトグラファーArt Rogersは、1列に並んだ子犬を抱いたカップルを撮影し、グリーティングカードなどの商品に利用されるよう販売しました。

世界的に高名なアーティストJeff Koonsは、日常の事柄の凡庸さを表現する展示を作る過程でRogersの写真に出会い、そのイメージを元にひと組の像を作成しました。Koonsはそれらの構築物を売り、大きな利益を上げました。コピーを発見したRodgersは、著作権を主張しKoonsを訴えます。対してKoonsは、パロディという公正な利用であると反論しました。

結果

裁判所は2つのイメージは非常によく似ているとし、「普通の人」が見ればコピーと認識するだろうと指摘しました。パロディであると言うならば、Rogersの作品ではなく、より一般的に知られたソースを使うべきである、という論拠によって、Koonsの答弁は退けられたのです。koonsには、Rodgersへの和解金の支払いが言い渡されました。

意義

これはアート界にさらに大きな事案、「盗用芸術」という問題をもたらした有名な訴訟の1つです。別の誰かの作品を元に作った作品はオリジナルと言えるのか。そのような作品を創作した場合、それは二次創作物とみなされるのか。またこの訴訟は、写真は単に世界を記録したものであるのか、あるいは創作物、アート商品であるのか、というアートとしての写真の問題点を提示しました。もちろん、この訴訟がそれらの問題全てに対する答えを出したわけではわけではありませんが、以降の多くの訴訟で参照されていることも確かです。

写真をベクタートレースをデザインに使うのも似た事例でしょう。あなたは、オリジナルのアーティストの価値を差し引いた二次創作物を作っているでしょうか。

2. The Associated Press 対 Fairey

copyright infringement

Photograph: Mannie Garcia – 2006 (via The New York Times); Poster: Shephard Fairey – 2008 (via Wikipedia)

訴訟

著名なストリート・アーティスト、Shephard Faireyは、2008年にオバマ大統領が大統領選挙の最初の立候補期間中にHopeポスターを作成しました。そのデザインは、実際はオバマ側の認可を得ていない、何にも属さない作品だったものの、すぐさまオバマキャンペーンのシンボルになりました。2009年1月、
Faireyがデザインのベースにしたとされる写真がAP通信のフリーランス、Mannie Garciaが撮影したものであること、AP通信はFaireyの写真利用に対し、支払いを要求していることがAssociated Pressにより明らかにされました。これに対しFaireyは、彼の作品はオリジナルの写真の価値を損ねるものではない、よってフェアユースである、と主張したのです。

結果

アーティストとAP通信は2011年1月、作品による収益の分割を盛り込んだ示談に応じました。

意義

この訴訟は、法廷には持ち込まれなかったため評決も存在しないものの、これら著作権闘争で言うところの作品の価値について、多大な議論を巻き起こしました。もしFaireyのポスターがなければ、Garciaの写真が現状のレベルの知名度を得ることはまずなかったでしょう。Garcia自身、「写真と、それをFaireyが芸術的に利用したこと、その影響力を誇りに思う」と述べています。それでもなお、Faireyが許可なく、オリジナルの作者のクレジットを入れることなしにイメージを使った事実は問題なのです。クレジット、クレジット、クレジット! 99designsでは、ライセンスを持つ作品を使うことはできません。しかし、正しい条件に基づいていれば、ストックイメージを使うことはできます。その場合は、誰もが元の画像を知ることができるようにしましょう。

3. Cariou 対 Prince

copyright infringement

Photograph: Patrick Cariou – 2000; Adaptation: Richard Prince – 2008 (both via artnet)

訴訟

Richard Princeは、よく知られた盗用芸術家です。他人の作品を変形させ、自身の作品の中で新しい意味を作り出しています。Gagosian Galleryの展覧会のため、Princeはフランス人フォトグラファー、Partick Cariouの写真集掲載の41点のイメージを使用し、写真から新しい意味を創作したとしてフェアユースを主張しました。Cariouは、フェアユースではなく著作権侵害であると反論しました。

結果

2011年、判事は、Cariouの写真に施された変更は、意味の変更(フェアユース)に相当するほどの意義はなかったとして、Cariouに有利な判断を下しました。しかし、この訴訟は現在控訴中であり、まだ最終判決にはいたっていません。

意義

この裁判におけるCariouに有利な最初の判決は、アート界隈のコミュニティに大きな分断をもたらしました。芸術的な意図とアートの主観性に関して、アートは見る人によって様々な翻案がなされるのに、「フェアユースとみなせるほどの盗用芸術作品であるかどうかを、なぜ判事が決められるのか」という疑問が持ち上がったのです。この件についてまだ陪審の判断は出ていません。

イミテーション vs. インスピレーション

他人の作品によく似た作品を作るデザイナーにならないようにしましょう。確実に、模倣ではなく、オリジナルを作らなければなりません。

2013年4月25日 更新

この記事が掲載されて2週間もたたないうちに、最初の評決は覆され、判事は論争になった作品の大半についてPrinceに有利な判決を出しました。Princeの作品は、元の作品を美的に全く異なって見えるように変更しており、そのためフェアユースとして受け入れられるという論拠です。評決の詳細と、下級裁判所においてなお審理中の5作品についてはThe New York Times Hyperallergicを参照してください。

4. Modern Dog Design 対 Target Corporation

copyright infringement

Illustrations: Modern Dog – 2008; T-shirt: Target (both via Business Insider)

訴訟

Seattleのデザイン会社、Modern Dog社は、2008年にChronicle Booksから出版された抄録に犬のスケッチのシリーズを使っていた。彼らは、そのデザインのイラストがDisney/Target製造のTシャツで盗用、販売されているとして2011年に訴えた。

結果

未定。この訴訟の判決は出ていませんが、Modern Dog社はこの問題に関する訴訟費用を求めて、オンラインでパブリシティと資金の援助を大々的に呼びかけています。

意義

Modern Dog訴訟は多くのデザイナー、アーティストが内心くすぶらせていた疑問に光を当ててきました。自分よりもたくさんのリソースを持つ大企業が私の作品を商売に使ったらどうなるのか。近頃、Modern Dog社はこの闘争に関わる訴訟費用をまかなうため、スタジオの売却を余儀なくされました。つまり、彼らにとっては極限状態なのです。この件がどのように進展し、問題を取り巻く議論がどのように変わって行くか、注視したいものです。

常に、自分のデザインを守りましょう。対抗する相手が誰であったとしても、あなたのデザインに権利があると思うなら、それを知らせていくのです。

5. Vanilla Ice 対 David Bowie/Freddie Mercury

Video: DF Bothma (via YouTube)

訴訟

Vanilla Iceは、1991年、Ice Ice Babyをヒットさせました。David BowieとQueenの楽曲Under Pressureをサンプリングしていますが、クレジットを明示していません。Vanilla Iceは最初は否定したものの、後にそれは「ジョークだ」とした発言を撤回しました。デュオによる起訴に際し、Vanilla Iceは作品をサンプリングしたことを認めました。

結果

この訴訟は、Vanilla Iceが未申告の賠償を支払い、トラックにBowie/Queenをクレジットする条件で示談になりました。

意義

この件には、直接デザインに関係する大きな意味はありません(他人の作品を使ってはいけない、ということ以外には)。しかし、この記事にどうしても付け加えたかったのです。かつて、これほどおかしな著作権訴訟があったでしょうか。

他にも様々な訴訟があります。何を学び取ってきましたか。