PPIとDPIは何が違うのでしょう?

shunichi shiga

AdobeのPhotoshopやその他のラスター画像を加工するソフトを使って印刷物のデザインをしたことがある人なら、DPI (dots per inch)やPPI (pixels per inch)といった用語に出くわしたことがあるはずです。

こうした用語の意味を理解していないクライアントから、DPIとPPIを混同しているような依頼を受けたこともあるかもしれません。でも愚痴をこぼす前に、立ち止まってこう自問してみてください。そういう自分はこうした単語のことをどの程度分かっているだろう?

dpi ppi screen shot2

DPIとPPIについて戸惑いを覚えたとしても恥じることはありません。世の中は人間が想像できる限りの混乱を招かせたいようです。大抵はそれが原因で、人々は(それにソフト制作者の一部も)実際はまったく異なることを言及しているのに、この2つの単語を取り違えて使う結果になってしまうのです。

心配には及びません。この短い章の最後には、2つの単語をしっかり理解し、安心して未来のクライアントに説明することができるはずです。

PPI(Pixels Per Inch)

ではPPIから始めましょう。あなたがデザイナーだとしたら、まず関心を持つのはPPIになるからです。DPIはその後で取り上げますが、こちらは印刷機器の技術的側面に関することなので、直接あなたには関係しません。DPIは印刷所の領分になります。

PPIをDPIと言い間違えるのは日常茶飯事です。常に混同されるので、諦めて受けとめるしかありません。(Apple、Microsoft、Adobeは皆、この不適切な使用法を広めるという過ちを犯してきました。)大切なことは、DPIについて話している人が、本当はPPIを指していないか判断することです。以下を読んで正しい用法を身につけてください。

PPIのデジタル原理

まず、ピクセルとは何でしょう? 初歩的な質問ですが、多くの人にとってはここが混乱の始まりです。ピクセルは“画素”という意味です。デジタル表示装置を人の目で識別できる物理的な最小要素です。

パソコン画面上で写真にズームインしてみると、その意味が分かります。ごく小さな正方形がびっしり何列も並んでいますね。これらのピクセルはまた、デジタル画像の最小のアドレス可能単位でもあります。

pixels

Application: PistoCasero (via flickr)

実際のところピクセルは“サブピクセル(副画素)”というもっと小さな赤、緑、青の光の要素から成っていますが、人の目では見ることができません。というのも加色混合という処理によって3色が合わさって1つの色になり1ピクセルとなっているからです。しかしこういった仕組みはデザイナーには直接関係はありません。

混乱する点: 残念なことに、プリンタのCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のドットに(おおよそ)似ているせいで、こうしたサブピクセルのことを“ドット”と呼んでいるメーカーもあります。プリンタのCMYKドットは減色混合処理(詳しくは後ほど説明します)で同じような働きをするのです。こうしたメーカーは自社製品の画面の“DPI”を自慢するのです。見かけても無視しましょう!はた迷惑な用語の誤用であり、吹っかけようとしているのかもしれません。

subpixels

Video screen: BruceTurner (via flickr); iPad 4: citoki0815 (via flickr)

ピクセルとは決まったサイズを持った物理的なものだということを覚えていてください。(ただし標準のサイズはありません。デバイスが異なると、違った形やサイズのピクセルになるからです。最小サイズは顕微鏡でしか見えない11¼ μmです)。

したがって、お使いのディスプレイのPPI(1インチあたりのピクセル数)は決まった数量になります。どこかに数を新たに入力しても調整はできません。大抵のLCDモニターは約67~130ppiの範囲になります。

200pixels

Diagram: Wikipedia

このことは何を意味するのでしょう?

画面上で画像を見ようとするだけなら、PPIは重要ではありません。お使いのディスプレイのPPIはすでに決まっているからです。したがってあるウェブサイトに、“ウェブの解像度”が72ppiだから画像を72ppiでアップロードして、と誰かに言われても、意味のない余計なことだと言ってやることができます。

閲覧者がウェブサイトにアクセスして、その画像を取ってきて印刷する、というのでない限り、PPIは重要ではありません。72ppiの画像と3,000ppiの画像はディスプレイ上ではまったく同じに見えます。

理解すべき点はPPIと印刷対象

“PPIの設定が重要となるのは印刷の時だけ(つまりデジタル画像を非デジタルの表面に移す時)”このことがはっきりしたと思います。「ちょっと待った、1インチあたりの画素の話をしていたのに、印刷用紙に画素なんてないじゃないか!」って? 確かに混乱しますね。続きを読んでください。

印刷工程では、画面上で画像を構成していた物理的なピクセルは、紙の上で異なる色を持つ小さな正方形に形を変えます。どう見てもこれらは発光する機械的な仕掛けという意味でのピクセルではありませんが、正方形の画素というもっと抽象的な意味での“ピクセル”なのです(以後、話を分かりやすくするためにこちらの抽象的な用法を使います)。

printed pixels

Print: Укларочить (via flickr)

これは何を意味するのでしょうか。紙上の“ピクセル”には決まったサイズはありません。もし画像のサイズを300%に上げる場合、上の“ピクセル”は3倍の大きさになり、結果として大きくはなりますが、見た目は粗い画像になってしまいます。

ではこういう風に印刷物のサイズを拡大や縮小するにはどうしたらいいでしょう? PPI欄(またはお使いのソフトによってはDPI欄)の数字を調整すればいいのです。

300 x 300ピクセルの画像があるとします。そのPPIを10に設定すると、印刷画像は相対的に大きくなります。つまり1インチあたり10ピクセルということなので、30 x 30インチになります(300を10で割ると30)。PPIを300に設定すると、印刷画像は相対的に小さくなります。つまり1インチあたり300ピクセルですから、1 x 1インチの画像になります(300を300で割ると1)。合点がいったでしょうか?

実践のヒント:PPI入力を最終的な印刷物の(解像度ではなく)物理的なサイズを調整する方法として考えてください。PPIを小さくすると、印刷物のサイズが大きくなって、画質が落ちるように見えますが、これはピクセルが大きくなり目につくようになるためです。

しかし覚えておいてほしいのは、これが質の相対的な尺度に過ぎないということです。離れて見れば、画像は前と変わらずはっきりと見えるでしょう。画像の絶対的な解像度には変化がないのです。画像に対応する”ピクセル”数は依然として同じなのですから。したがって画像の解像度を上げたい場合は、PPIを上げるのではなく、よりピクセル数の多い画像を制作することです。

注意:単純にピクセルの数字を上げて画像を再サンプリングする(画像を作った後にピクセル欄に新しい数字を入力する)のは、通常、画質を鮮明にするためのうまい方法ではありません。なぜならコンピュータは、ピクセルでいっぱいの画像を変な場所に押し込もうとする傾向があるからです。

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Billboard: Friction NYC (via flickr)

この広告板のクローズアップを見ると、ピクセル化しているのが目立ちます(ドットもよく分かりますが、これについては後ほどすぐに取り上げます)。しかし多くの通行人は遠目から見ることになるので、画像は非常に明瞭に見えます。

Dots Per Inch (DPI)

あなたがデザイナーだとしたら、DPIはほとんど関係がないので、この項目はざっと説明します。一応重要な概念ですので理解しておくとよいでしょう。

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Print: Nick Sherman (via flickr)

プリンタは、ピクセルの正方形を直接互いの上に敷き詰めることで画像を再生するのではありません。正しくはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色の混合から成る小さなドットを吐き出すことで再生します。それら4色は減色モデルにならって様々な色を生み出すために混ぜ合わされます。これらのドットとドットの間にはスペースが必ず生じ、これがDPIで測れるもの、すなわち密度になります。

dpi

Diagrams: Wikipedia

例えば、150ppiの画像を600dpiで印刷しようとすると、各“ピクセル”は16ドットから成ります(600ドット÷150“ピクセル”=4“ピクセル”あたり4ドットが4列)”

これはクライアントにとって重要です。というのも大ざっぱに言ってDPIが高い程、画像の色調が良くなり、色の混成もスムーズになるからです。(またインクも多く使い、印刷にも時間がかかりますから、個人的に家で印刷する際は心に留めておいてください)。書籍や雑誌などで高画質の写真再生をするには150dpiがおおむね最小の標準と考えられています。新聞は85dpiを使うことが多く、効果は鮮やかです。個々のドットは目に見えますが、細部が一部失われます。広告板はもっと低く45dpiくらいですが、非常に遠くから眺めるのが常なわけですから判断できません。標準的なドットマトリックスプリンタは60-90dpiくらいの能力です。インクジェットプリンタが300-600dpi、レーザープリンタは600-1800dpiが標準です。

注意:dpiが高い方が高画質とは限りません。なぜなら標準のドットサイズや形などないからです。つまりあるメーカーのドットが1200dpiで良く見えても、他のメーカーのドットが700dpiで同じくらいに良く見えるかもしれないということです。とにかく実際のところデザイナーには関係のない問題です。

実践のヒント: DPIは個々のプリンタの技術的側面に過ぎません。あなたがお使いのパソコンディスプレイのピクセル解像度のようなものです。デザイナーとしてはこれについてはどうすることもできません。できることはプロの印刷所にクライアントを推薦し、自社機械のスペックを分かっている印刷所にクライアントから印刷を引き継いでもらうようにするだけです。

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