カーラッピングは小規模ビジネスにとても人気の製品デザインです。車のサイド部分は多くの人の目に止まるので、広告スペースに最適です。基本的には移動広告塔で、ビジネスオーナーはたった一度だけ広告料を支払えばいいのです。
カーラッピングをする場合は、通常、印刷した大型のビニールシートを車体に貼り付けます。しかし、効果的な広告デザインの制作は少し複雑な工程となります。カーラッピングプロジェクトを請け負うには、少なくとも標準のグラフィックデザインプログラムの中間レベルのスキルが必要となり、制作に取りかかる前にはリサーチを行うべきでしょう。
下記は、印刷準備ができたカーラッピングファイルの基本的な工程と、クライアントへの納品方法を紹介しています。では早速見ていきましょう。
1. 情報を収集する

デザインを始める前に、正確なテンプレートを入手する必要があります。縮小したデザインを制作し、出来るだけ印刷準備するには、クライアントの車体の正確なテンプレートファイルにデザインを制作することが必須です。カーラッピングファイルは大型かつ複雑で、印刷業者によっては最高1時間75ドル、もしくは修正料で計250ドル請求するところもあります。
理想的なのは、クライアントから前もって車の設計図のテンプレートファイルを入手するのが一番です。しかし、もしそれが難しい場合は、車の設計図のテンプレートはこちらのようなウェブサイトで購入できるので、クライアントに購入してもらいましょう。もしくは、クライアントのカーラッピング印刷業者にファイルを提供してもらうよう依頼することもできます。しかし、車両にはそれぞれ表面上にわずかな凹凸がある可能性があるため、オンラインで購入したテンプレートファイルが必ずしも100%当てはまるとは限りませんので、気をつけてください。
次に、クライアントが使用しているのはどの印刷会社か、そしてどのような仕様にしているのか突き止める必要があります。カーラッピング印刷会社は、それぞれ異なったファイルの条件や印刷過程がある場合があります。そのため、デザインを始める前に、できるだけ多くの情報を収集することが重要です。
最後に、クライアントの車の高画質画像を提供し、車種を教えてもらうようクライアントに依頼してください。車の表面に、既存のテンプレートと異なる凹凸などがないか確認してください。
2. インスピレーションを収集する

技術的な情報がすべてそろったら、クライアントの車をラッピングする夢のデザインを実現化する方法を考え始めましょう。すでにロゴとキャッチコピーが決まっていたと仮定して、どのようなタイプのカーラッピングデザインが好きかクライアントに確認してください。
お勧めはしませんが、クライアントの多くは、カーラッピングデザインの中に写真を入れるのを好みます。もしそれがクライアントの望みなら、かなり高画質な画像を入手して購入する必要があります。ストックフォトを購入する予算についても、クライアントと話をまとめなければならないでしょう。
カーラッピングデザインをシンプルにまとめておくのは、とても良いことです。クライアントのビジネスに関する広告なら、なおさらそうです。クライアントの車が高速道路を時速65マイルで走行することも考慮し、どこの広告なのかが一瞬で分かるようにしましょう。
カッコいいカーラッピングのPinterestのボードとデザインギャラリーをチェックして、デザインの制作を始めていきましょう。
3. デザインを制作する
Thomas Baekdalによるカーラッピングのモックアップチュートリアル
クライアントの車体画像を入手したら、早速その画像を使って、デザインのスケッチに取り掛かりましょう。テンプレートファイルでデザインを制作することもできますが、Photoshopを使って車の写真にデザイン加工をするほうが簡単だ、というデザイナーが多いようです。実際の車にデザインしたときの外観と100%一致はしませんが、車の角の部分や曲面部分でグラフィック画像がどのように見えるか視覚化しやすくなります。Photoshopでカーラッピングを視覚化する方法についてはこのすばらしいチュートリアルをご覧ください。(また、こちらのチュートリアルもお勧めです)
作成したどのモックアップも、必ず再作成が簡単にできるようにしておいてください。もしくは、クライアントに提案する前に、テンプレートファイルに適用できるようにしておいてください。モックアップは実際のデザインがどのようなものになるのか、またクライアントから最終デザインの承認を得るのに、最適な提案方法です。しかし、Photoshop上で見栄えが良いだけでなく、実装できるデザインを見せることにより、クライアントの望むものを的確に具現化することも重要です。
4. デザインをテンプレートに適用する
mr-clipart.com/のカーラッピングチュートリアル
カーラッピングの印刷ファイルは、Adobe IllustratorもしくはAdobe Photoshopのどちらかで作成できます。カーラッピングの印刷業者によってはベクターファイルだけを指定する場合があるため、99designsでは、カーラッピング譲渡の際にAdobe Illustratorファイルでの納品をお勧めしています。
しかし、多くのカーラッピング印刷業者はPSDとAIファイルの両方受け取ってくれます。ベクターもしくはラスターを利用して、カーラッピングデザインをテンプレートファイルに適用する方法については、ここをクリックして、ショートチュートリアルをご覧ください。
検討すべき基本的なこと:
- 文書のカラーモードをCMYKに設定する
- デザインを1:10の比率で縮小して作成する1つの方法
- 文書の解像度を720ppiに設定する
- 画像がデザインの一部の場合は高解像度画像/ラスター画像を使用する
- すべてのフォントにアウトラインを作成する
- 各部分を別のレイヤーに名前を付けて整理する。また、各グラフィックが個別のサブレイヤーを持つようにする。
- 各テンプレートには、5~10インチほどの塗り足し部分をつけましょう。デザインシートは、ドアの端のような場所に巻き込ませる必要がありますので、実際の輪郭に塗り足し部分を加えることで、車体をデザインで完璧にくるむことができます。
5. ファイルを納品する

Richard Andersenによるカーラッピングデザイン
クライアントに拡張子が.tiffの圧縮していないカーラッピングファイルと、.ai (Adobe Illustrator)もしくは.psd (Adobe Photoshop)のファイルを納品してください。クライアントにデザインで使用したすべてのフォント名を知らせるか、クライアントがそれらのフォントのライセンスを所有していることを必ず確認してください。
写真/ラスター画像をデザインに使用している場合、後にファイルの変更が必要になったときにクライアントが使用できるように、修正前の写真ファイルも一緒に納品してください。ファイルの仕様に関する詳細は、このカーラッピング印刷業者ファイル仕様をチェックしてください。
カーラッピングプロジェクトは難しいかもしれませんが、自分で制作したデザインが高速で動く大型の物体上で活躍するのを見るのは、最高のごほうびになるでしょう。