私たちデザイナーには、色について何かに例えて語るようなぜいたくは許されていません。デザイナーは主にRGBやCMYKや16進数の世界にいて、定期的にHSBの世界を旅します。

愉快ではないでしょうが、これは重要なことです。色を使うことはグラフィックデザイン業界では必須であり、色に関するミスのせいで印刷会社に大きな経済的損失を与えることもあります。

それではよくある失敗を見ていきましょう。

1.古いモニタまたは安価なモニタを使っている

モニタの質

あなたのモニタは最新型ですか?

物事には順序があります。プロ仕様ではないモニタや、単に古すぎて正しい色や輝度値で表示できないモニタでは、まともに色を映し出すことなど期待できません。

ほとんどのモニタは、ゲームやビジネスには使用することができますが、あなたのような専門家のためには作られていません。安物の電子機器と質の低いディスプレイ技術を使用したモニタは、たった1つの目的、すなわち地方の電器店で大きくて目立つ値札を貼ってもらうことだけを念頭に置いて作られています。色と商品の寿命がどの程度考慮されているかは想像できるでしょう。

だからこそまさに、大きくて高価な、ほとんどの人が見るのに勇気がいるようなモニタを、あなたは周りを気にせず手に入れる必要があるのです。あなたはそれまで誰も見たことのない色を見ることができますし、近所で有名になれます。やったー!

2.モニタの校正をしていない

モニタの校正

もしあなたのモニタで「ムービー」「テキスト」または「ゲーム」のような任意の色の設定がされているなら、すぐに校正を行いましょう。

校正は、色およびグレートーンを最も幅広く表示できるようにモニタを調整するプロセスで、物のそのままの色を見ることができます。基本的にあなたがやるべきは、明るさとコントラストの個人的な好みを捨てて、色温度を6500Kに設定し、画面で読んだ設定条件に合うまで表示設定を調整することです。

最新でハイエンドのモニタは出荷時に校正が行われているので、自分ですることはほとんどありませんが、設定が正しいかどうかを確認しておいた方がいいでしょう。

校正の一番良いところ?
それは、もしクライアントがモニタの色について不満を言ったら、校正の問題だと見当がつくことでしょう。

3.カラープロファイルの設定が間違っている

カラープロファイルの設定

デザインソフトの設定については、何を変更したいのか“正確に”分かるのでなければ、デフォルトのカラープロファイルを変更しないでください。

自分が何をしているか完全に確信がある場合を除いて、PhotoshopやIllustrator、CorelDRAWに付属しているウェブ、印刷、その他のカラープロファイルのデフォルト設定は決して変更しないでください。

これらのソフトの最近のバージョンを使用している場合、そのカラープロファイルには既に、使用シナリオの99%をカバーし、広い範囲のデバイスに可能な限り最高の色再現を提供するための設定がされています。カラーマネジメントに非常に慣れていて、実現したいことが正確に分かっているのでなければ、カラーマネジメントをいじる理由はほとんどありません。非常に慣れていたとしても、いじることに利点があるかは疑わしいです。

決めなければならないのはたった1つ、ウェブ用の作業をするのか印刷用なのかということです。新しいドキュメントを作成する時に、どちらかをソフトで設定します。カラープロファイルについてはそのままにしておけば、それで良かったと満足するはずです。

4.色校正を有効にしないまま印刷物をデザインしている

色校正を有効にする

色校正を有効にしていなければ、作品の色が印刷ではどのように見えるのか(上の図の右)分かりようがありません。

プリンタはモニタと比べると、ハッブル宇宙望遠鏡の隣にある安い望遠鏡のようです。同じ物を見ているかもしれませんが、宇宙望遠鏡ではより多くの星が見えるのが当たり前です。

プリンタよりもデジタル機器の方がはるかに色の範囲が広いので、作品の色は印刷物より画面で見る方が常にきれいに見えるのです。

デザインソフトの設定で色校正を有効にすると、デザインしている作品が印刷ではどう見えるかが分かるので、手痛い失敗をしたりがっかりしたりするのを防げます。PhotoshopとIllustratorでは「表示」から「色の校正」を選択するだけです。

5.物理的な校正刷りをしていない

物理的な校正刷り

印刷のための作品を作成している場合に起こり得る最大の過ちは、RGBやCMYK、校正、カラープロファイル、あるいはその手のしゃれたものとは関係ありません。 デザインを実際に校正刷りするのを忘れることです。

校正刷りは作品の単なるデジタルな印刷物で、印刷機から出てきた時にどんな色に見えるのかが表示されます。なぜ校正刷りが必要なのでしょう? 色の問題に早く気付き、印刷業の衰退について2時間議論するのを避けるためです。

一番いいやり方は、校正刷りの設定をしたハイエンドのレーザーカラープリンタで校正刷りを作成し、デジタルファイルと一緒にプロの印刷業者に渡すことです。小型のプリントショップでもほとんどのところでは校正刷りを作成することができますが、1軒も見つからない場合は、高品質のインクジェット印刷でもよいでしょう。

大事な点は、あなたが見せたい色を印刷業者に示すことです。そうすれば印刷業者はあなたの心を読み取ろうとしなくても、校正刷りと実際の印刷物の色を一致させるために必要な調整を行うことができます。

6.CMYKカラーモードでデザインしている(Photoshop)

CMYK

Photoshopを使う時にCMYKカラーモードでデザインすることは、印刷する作品にとってベストな方法ではありません。この文章は正しいですよね。大丈夫、私の気は確かです。

印刷にはCMYKカラーモードが求められますが、デザインする際にこのモードを使うと作業がかなり制限されてしまいます。Photoshopのフィルタや機能の多くがCMYKモードでは使えませんし、パフォーマンスは低下しファイルサイズは肥大します。

このため、色校正を有効にしてRGBモードで作業し、完了後にドキュメントをCMYKに変換するのが常に最善の方法なのです。

得られる結果は同じですが、デザインソフトのパフォーマンスはより良く、より高速です。

7.デフォルトのカラーパレットを使っている(Photoshop)

デフォルトのカラーパレット

前述の色に関する失敗のほとんどは技術的な性質のものでしたが、ここで挙げるのは創造性の問題です。

ソフトが提供するデフォルトのカラースウォッチでデザインの仕事をすることは、あるとしてもまれなことにしておくべきです。これらの単一の飽和色だけでは、非常に少ない色数しか作品に使えず、より魅力的な配色を探すことができません。

証拠が必要ならば、次のコンペではロゴやウェブサイトの色に注意を払ってください。それらの多くは、デフォルトのスウォッチ工場からそのまま持ってきたものだと気付くでしょう。

手抜きはダメです。デザインを始める前に、Adobe KulerやColor Hunterなどのツールを使って、独創的で表現豊かなカラーパレットを選択してください。作品が突然美しく独創的に見えてきて驚くことでしょう。

8.HSBカラーミキサーを使っていない

ここで問題です。どのようにRGBやCMYKのスライダーを動かせば、茶色をより鮮やかな色にできるのでしょうか? お手上げですか? 私もです。

HSBの観点で考え始めると、答えは簡単です。彩度を上げるのです。

HSL(色相・彩度・明度)のカラーミキサーがデザイナーを支援するために発明され、ビジュアルアーティストは簡単に、そして直感的に色を選択できます。

考え方はシンプルです。

  • 色相のスライダーで、色の大まかなトーンを選択します。
  • 彩度のスライダーで、色がどのくらい「ポップ」か、またはどのくらい淡いか・濃いかを決めます。
  • 明度のスライダーで、光の量を決定します。昼のように明るいのか、夜のように暗いのかを決めます。

クライアントに「この青はもう少し薄く、明るくするべきだ」と言われたら、2つのことをする必要があるとすぐに判断できます。彩度を下げ、明度を上げるのです。

HSBの観点で考えるようにすると、色についての理解も深まるでしょう。

色に関する問題のまとめ

今日私たちが直面する色の問題の大半は、一連の作業における、ごく小さくてささいなミスに由来しています。私たちが今日持っているモニタとプリンタは十分にスムーズな連携ができています。しかし、モニタの校正や色校正に失敗したり、あるいは単純に見た目の良いカラーパレットを選択したりすると、あなたの作品は本来の最高の姿には見えなくなってしまいます。

この記事ではいくつかの基本原則をカバーしていますが、結局のところ、どのデザイナーも色を取り扱う時には自分が持っている技術を使用するに留まります。

使用画像:Supernico26 (Flickrより)

 

[ 翻訳:shunichi shiga ]