デザイン・プロジェクトの終盤に、クライアントからテキスト編集が可能なファイルを求められた場合は、少し注意が必要です。なぜなら、ほとんどのクライアントはAdobe Illustrator やInDesignなどの専門的なソフトウェアの使い方を知らないからです。これでは、あなたのプロフェッショナルなドキュメントデザインが、損なわれてしまうかもしれません。

そもそもクライアントが、使い方も分からない高価なソフトウェアを購入するのは道理にかなっていません。彼らが使い方を知っているソフトウェアと言えば、例えばMicrosoft WordやPowerPointですが、それらはプロ仕様のデザインファイルの作成には、あまり適していないでしょう。

そこで、ドキュメントのタイプや、クライアントが使用可能なソフトウェアに応じた3つの解決方法を紹介します。

  1. Microsoft Wordのテンプレートとしてドキュメントを作り直す
  2. Adobe Readerを使用してテキスト編集が可能なPDFファイルを作成する
  3. Adobe Acrobatを使用してテキスト編集が可能なPDFファイルを作成する(最もお勧めです)

それぞれの解決方法が、どのように役に立つのかを見てみましょう。

1.Microsoft Wordのテンプレートとしてドキュメントを作り直す

Text editable files: Microsoft Word

ほとんどのクライアントは、Microsoft Wordを所有しており、操作方法も知っています。とはいえ、このソフトウェアは、プロ仕様の印刷用ファイルを作成するためのものではありません。日常的に使うドキュメントなどに、より適しています。Microsoft Wordであなたのデザインを丸ごと作成し直すことは可能ですが、時間はかかってしまうでしょう。

あなたがドキュメントデザインをAdobe InDesign、Illustrator またはPhotoshopで作成したのであれば、手っ取り早い解決策は、そのデザインを高解像度のPNGファイルとしてエクスポートすることです。そして、その画像をWordドキュメントのヘッダー及びフッター部分に挿入し、テンプレートとして保存します。上のサンプル画像はレターヘッドのデザインですが、この他にもWordでは様々なタイプのドキュメントやサイズに対応できます。

手順をさらに詳しく知りたい方は、チュートリアル“オリジナルデザインの元データを、Microsoft Wordのレターヘッド・テンプレートに変換しましょう”をお読みください。

2.Adobe Readerを使用してテキスト編集が可能なPDFファイルを作成する

Text editable files: Adobe Reader

Adobe Readerは無料でダウンロードできる上、とても使いやすく、クライアントがあなたのデザインファイルを編集するのに適したソフトウェアです。IllustratorまたはInDesignで作成されたデザインをPDFファイルとして保存、さらにAdobe Acrobatを使って、編集可能なテキスト領域をファイルに追加することができます。クライアントはこのPDFファイルをAdobe Readerで開き、あなたが追加したテキスト領域を編集することができます。

ただし、Adobe Readerにはごく限られたテキストスタイルの機能しかないため、あなたがPDFファイルで設定したフォントやテキストサイズを、クライアントがあとから変更することはできません。しかし、クライアントにAdobe Readerで編集作業を行ってもらうことは、とても有効です。Adobe Readerはテキストのみを編集できるため、ドキュメントのスタイルを誤って変えてしまうことがないからです。

より詳しい説明は、チュートリアル“Adobe Acrobatの7つのステップで、編集可能な名刺のテンプレートを作成する”をお読みください。

3.Adobe Acrobatを使用してテキスト編集が可能なPDFファイルを作成する

Text editable files: Adobe Acrobat

クライアントがAcrobatでテキスト編集をするためのPDFドキュメントは、Adobe IllustratorまたはInDesignで作成したドキュメントデザインを、PDFファイルとしてエクスポートするだけで作れます。

上の画像は、2.と同じPDFドキュメントをAdobe Acrobatで開いたものです。ご覧のとおり、Adobe Readerに比べて、より高度な編集ツールがたくさんそろっています。これならクライアントは、フォントやレイアウトの変更、画像の追加、その他にも様々な編集ができるので、Adobe Acrobatはお勧めのソフトウェアと言えるでしょう。

Adobe Acrobatは使いやすいソフトウェアです。クライアントは、ほぼ自在にレイアウトを調整し、プロフェッショナルな仕上がりのドキュメントを作ることができます。また、Adobe Reader及びAdobe Acrobatで編集したPDFファイルは、印刷にも適しています。新しくソフトウェアを購入しなくても、Adobe Acrobatなら、すでに多くのクライアントが所有し、使い方を把握しているはずです。

まとめ

Adobe ReaderまたはAdobe Acrobatで、テキスト編集が可能なクライアント向けのPDFファイルを作成するには、デザインをPhotoshopではなく、IllustratorまたはInDesignで作っておくことをお勧めします。PhotoshopでPDFファイルを保存すると、テキストやフォントの情報が失われてしまうことが多々あり、その結果、編集ができなくなってしまう恐れがあります。

印刷用のファイルなど、クライアントが必要としているドキュメントの種類によっては、デザイナーが自らテキストを編集する方が良いかもしれません。ですが、そのドキュメントをクライアントが日常的に使用する場合は、テキスト編集が可能なファイルを用意するようにしてください。

また、クライアントが、あなたのドキュメントデザインに使われているフォントのライセンスを所有、または購入していることを常に確認することが重要です。

テキスト編集が可能なドキュメントの作成について他にアドバイスがあれば、ぜひコメントでシェアしてください!