Apple、マクドナルド、Twitter、コカ・コーラ、Nike…

これらのシンボルマークを、非常に特別で象徴的な存在にしているのは何でしょうか?
それは見た目の美しさや色使いでしょうか?その企業の業務内容が伝わるからもしれませんし、それは関係ないかもしれませんね。
 
そういった要素は、ロゴデザイン案件において考慮すべきではありますが、どれも特別に重要というわけではありません。有名なロゴの中には美しいものも、(多くの人に言わせれば)実に見苦しいものもあります。少ないながらも、その企業の業務内容を表すロゴもありますが、それを除けば、他のロゴはそこまでの配慮がなされていません。

では、卓越したロゴの制作を左右するのがこのような要素ではないとしたら、他に何が考えられるでしょうか?

それは、独自性です。

それこそが、プロフェッショナルが手がけるロゴとして、どんな時でも唯一にして最も重要な特性なのです。もし、そのロゴが真に群を抜く出来栄えで、ブランド自体を唯一無二で記憶に残るものにしていながら、同時にデザインの基本原則を守れていれば、卓越したロゴとしての基準を満たしていると言えます。

世界中のクライアントが、そういう作品を探していて、対価を支払ってくれます。そしてロゴデザインのプロフッェショナルなら、そういったロゴを確実に作り出す方法を知っているのです。

彼らがどうやっているのか、知りたいですか?

1.クライアントを知る

卓越したロゴは、その企業の価値観や、文化、そこで働く人々を表現しています。ロゴのことは、できる限り最善の方法で目立ち、その企業を象徴することを主な職務とした社員のようなものと思っていただければ良いでしょう。その社員はどんな見た目でしょうか?どんな感じの人ですか?上司ですか、それとも隣の家に住んでいるようなタイプですか?よく通る声をした、快活な人ですか、それとも聡明で物静かな人ですか?

このような質問をされても、正確に答えるのは無理ですよね。

ですから、プロフェッショナルは、クライアントとのしっかりとした対話を行うことからロゴ案件を開始します。プロフェッショナルは、企業の文化、価値観、仕事のやり方について、できるだけたくさん学ぼうと努め、そこから伝わってくるものを、ロゴのデザインを行う際に注ぎ込むのです。

ランドーは、BPの価値観と文化、そして彼らが伝えたいことを深く理解した上で、こちらの新しいロゴをデザインしました。

こうしたステップを踏むことで、クライアントや企業内の他の関係者に違和感ばかりを抱かせてしまうロゴの制作をせずに済みます。

そういうわけで、デザインブリーフを読むだけで終わらせないでください。ロゴデザイン案件の手始めとして、クライアントの仕事について知りたいことがあれば、具体的な質問をいくつか投げかけてみましょう。クライアントの価値観や魅力、顧客について聞いてみてください。

クライアントの考え方を知ることで、彼らにはどんなロゴがふさわしいのかが分かってきます。

2.業種を知る

クライアントのことが分かったら、次のようなことも詳しく知る必要があります。

  1. ロゴは誰に向けたものですか(オーディエンスの特定)
  2. 対抗する相手は誰ですか(競合の特定)

オーディエンスを知ることで、ロゴのスタイルをどういう方向に持っていくか、何らかのヒントが得られるでしょう。例えば、ティーンエイジャー市場向けの案件を扱う場合は、メインストリーム感があり、派手で覚えやすいものが良いということになると思います。しかしティーンエイジャーと言っても、コンピューター・プログラミングに精通した神童たちを対象とする場合は、もう少し考えてみる必要がありそうです。

GroovesharkはSpotifyのすぐ後から市場に参入しましたが、全く異なる、独自性の高いロゴが、より若いオーディエンスに好評で、独自の展開に繋がりました。

このように、クライアントから対象の顧客についてできるだけ多くのことを教えてもらう必要があります。どんな人々なのか、どこに住んでいるのか、何を買い、どんな服装をしているのか。ターゲットとなるオーディエンスについてあなたが知れば知る程、クライアントが気に入ってくれるロゴを、楽に作り出せるようになるのです。

次に、この段階において、もしかするとより重要かもしれないこととして挙げられるのは、クライアントの競合を調べることです。市場には他に誰が存在して、どんなロゴを使用しているのかを確認する必要があるでしょう。そうすることにより、似通ったものを制作してしまうことや、更にまずいことに、まったく同じものを制作してしまうといった事態を防げるからです。あなたが作るロゴは、クライアントをどの競合よりも際立たせなければいけないことを、忘れないでください。そのためにも、気を付けておかなければいけない重要な競合の一覧を、クライアントからもらえるようにお願いしてみてください。

3. ロゴのアプリケーションを知る

この段階は、次の非常に単純な質問に答えることで説明できます。ロゴは主に、どのように使われ、またどこに使われるのでしょうか?ロゴの色々な使用方法のことを、一般的に「ロゴのアプリケーション」と呼んでいます。

これは、ロゴデザインの過程において、極めて重要な意味を持つものです。その理由は、デザイン的な観点から、何ができて何ができないのかを、デザイナーに示してくれるものだからです。

航空会社は、機体の尾翼にロゴを表示する必要があります。これは、慌ててデザインに取り掛かる前に検討しなければいけない重要な点です。

例えば、航空会社には非常に明確なロゴアプリケーションの要望があり、それは飛行機の垂直尾翼にロゴを配置しなくてはならないというものです。これは極めて縦長かつ幅の細いスペースを扱うことを意味するので、デザイナーは、そこに収まらない図案は避けねばなりません。もしくは、この部分での使用に限定したグラフィックを作る必要があるでしょう。

別の例として、ビジネスの大半がオンライン上で行われる、ウェブ系の企業を見てみましょう。この場合、デザイナーはロゴにRGBフルレンジの使用を選ぶかもしれません。それはデジタル機器上では問題なく表示可能であると同時に、ロゴを目立たせることに役立つかも知れないからです。反対に、ビジネスはオフラインで行い、大量の印刷物が発生する企業にとっては、それは非常にまずい選択となります。

以上のことから、毎回、ロゴが主にどんな風に使われるのかを慎重に考えるようにすると、実際には使うことのできない図案に時間を浪費せずに済みます。

4. 下絵を(たくさん)描く

多くのデザイン学校では、生徒に対して、良い案を決定する前にアイディアを100案も提出するように求めることを存知でしたか?そうする理由は簡単です。良作と駄作を振り分けるたった1つの方法は、選択肢を多く持つことだからです。

この単純な事実のために、ブランディングを行うプロフェッショナルのデザイナーは通常、ブレインストーミングの段階で、何十ものロゴ案の下絵を描き、そこからひと握りだけを選んで、クライアントに見せています。

デザイナーのデイビッド・エイリーは、人々の記憶に残るHenri Ehrhartのロゴを完成させるまでに描いた下絵を公開しています。

大変そうに感じるかもしれませんが、実際にはそれほど時間かかる作業ではありません。紙の上にペンでロゴの下絵を描くのは1分もかかりません。ひとつひとつを考える時間を入れても、1時間もしない内に10案くらいは簡単に下描きが完成します。

くれぐれも、最初の案が1番良いはずだと思い込まないようにしてください。

まず、下絵を描いてみましょう。そして更にもっと描いてみてください。そうすれば、本当に良いものを選び出すことができるのです。

それこそが、プロフェッショナルのやり方です。

5.ラフ案をデザインする

下絵が完了したら、その中からベストなものを5から7案選び、Illustratorもしくは他のベクター形式のアプリケーションで第一弾のデザインを作っていきましょう。念を押しておきますが、ベストな案というのは、見た目のかっこいいものや、他社とそっくりで無難なもののことではありません。あなたのクライアントを市場で十分に目立たせる可能性を持つものこそが、ベストな案です。

ジェイコブ・キャスはUKEのロゴのラフ案を公開しています。

モノクロで簡易的なデザインを制作して、クライアントに手始めに見せてみましょう。色を付けたり、細部を描き込むことはする必要ありません。シンプルなままの方が、取るに足らないディテールよりも発想そのものに注意を向けてもらえるため、この段階ではその方が望ましいからです。

この時点での目的は主に、クライアントからラフ案に対するフィードバックをもらうことと、彼らがリファインを希望するものがどれかを知ることになります。

6. リファインする

リファインと呼ばれるこの段階が、一番長い時間を要します。それはクライアントに提示したロゴの草案に改良や変更を加え、一進一退を繰り返すことになるからです。

クライアントは1つの案しか選ばない時もあるでしょうし、2つか3つの案を同時に進行させることで、それぞれどのようになるかを見てみたいと言われる時もあるでしょう。

しかし、ここは楽しい時間でもあります。

Helvetic Brandsはロゴ開発とリファインの一連の過程を公開しています。

リファインの段階で、ロゴには色やディテール、様々な装飾が加えられ、変更され、そして淘汰されます。異なる環境ごとにロゴの見え方を確認するため、数々のアプリケーションの試作が行われます。時に、紙の上に描かれたロゴのディテールが、建物に表示されたときはあまり映えないこともあります。

このようなプロセスを経て、ついにロゴの完成版が決まり、承諾を経て、ブランディングの準備が整います。

7.ブランディングの実施

お察しいただけると思いますが、卓越したロゴは終着点ではなく、優れたブランディングの出発点です。

ビジネス用のステーショナリーや看板、乗物のブランディングを初め、その他たくさんのコミュニケーションツールは、どれを取っても同一のブランドメッセージを発信しているようにデザインされなければいけません。ブランディングを実施することにより、それが実現します。

この段階では、「ブランドブック」と簡潔に呼ばれる、ブランドのガイドラインにまとめるための、重要なロゴ展開例すべてがデザインされ、規格化されます。

ブランディング開発は、ロゴからさらに一歩踏み込んで、日常的に使われるマーケティング用、販促用のツールすべての表示規格を定めます。

このガイドラインはロゴの扱い方を示すもので、一般的なマーケティング用素材に使用するための基準となるレイアウトや色、画像、そしてタイポグラフィを定めています。これがあれば、企業側が広告代理店やデザイナーを変更した場合でも、ブランドのアイデンティティーは同じ指針に則ったまま確実に保護され、また、方向性が分かるのです。

ブランディングの実施はオプションとなりますが、通常は、ブランディングデザインセットの一部として提供されることを知っておきましょう。大抵のクライアントは、最低でもビジネス用のステーショナリーと看板のデザインを統一したいと考えています。

この手法はあなたにとって、どのようなメリットがあるのでしょうか?

お分かりのように、プロフェッショナルによるロゴデザインの手法は、7つの段階から構成された、とても本格的な作業です。その全ては企業の価値を高め、市場で目立つための唯一無二で記憶に残る記号を生み出すことを目指すものです。

だからと言って、これは大手の広告代理店や有名デザイナーだけの仕事ではないと知っておくことも大切です。今回ご紹介した段階を踏むことで、誰もがメリットを得られますし、そうすることによって、クライアントはあなたに対して更に感謝することでしょう。

次回あなたがデザインコンペに参加する時は、真剣に取り組むことから始めてみましょう。デザインブリーフを読むだけで済まさないでください。クライアントに、仕事のことや、オーディエンスのこと、競合やロゴ展開に対するニーズについてできる限り質問しましょう。下絵を描いて、デザインの初期段階でクライアントに見せてみます。 その時にもらう意見を元に、リファインします。コンペに優勝したら、ブランドブックの制作をオファーし、1-to-1請求システムを活用しましょう。

プロフェッショナルな姿勢で仕事を行えば、成功はあなたのものです。

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